中3息子は、私に何かを要求したり、負の感情を出すことは、ほぼない。
小6妹と小4弟は、要求を口にするし、それがかなわなければ、口を尖らせたり、不貞腐れたりと態度にも出る。
対して彼からの要求は、誕生日やクリスマスに、漫画本や、ゲームを。
お小遣いで、動画サイトの月額料金を、たまに。
それから、昼夜逆転の生活。
彼の洋服は、どれもヨレヨレだが
「どうせ、家にいるのだから買う必要はない」
3度の食事に文句をいわず居間で食べ、作っている最中の台所に顔を出しても
「また、それかよ」
ではなく
「美味しそうだ」
「楽しみだ」
買ってきたものには
「こういうの、好きなんだ。嬉しいよ」
弟妹とのケンカも、ほぼ相手からケンカを売られた形で、それをうまく受け流し。
そんな彼の毎日は、毎日バラバラの時間に寝て、起きると居間の椅子に座り、ゲームやYouTubeを見ながら笑って、ときには鼻歌を歌ったり。
「いい子だね」
と言ってくれる人もいる。
だが、穏やかに、意見も要求も欲しいものもなく、いつもゲームや動画を見て笑っている14才は、はたしていい子なのか?
14才って、こんな感じなんだっけ??
そんな彼が、少し前に100均でサングラスを買った。
その前には
「『つけてみそかけてみそ』という調味料が、実は好きなんだ」
と話してくれたが、買って欲しいとは言わなかった。
「買おうか?」
と、私が何度か尋ねて、ようやく
「買ってくれるなら、欲しいかな」
と。
そして、今
「上着が欲しくなったから、携帯で探している」
そう言った。
通販サイトを見て、良さそうなものがあると私のところにやってきて
「これいいと思って!・・あっ、でも口コミで生地がペラペラだって書いてあるな」
「こっちは・・来るのが4月??待てねぇな」
そんな兄のいつもと違う姿に、弟妹もゲーム機片手に、横目でチラチラ。
たまらず、いつもはケンカをふっかけてくる小4弟が
「さっきから、何してんの?」
と兄のもとへ。
「上着が欲しくてさ、これいいなぁって思うんだけど、どう思う?」
兄に助言を求められて、弟も鼻をうごめかして
「いいじゃん!カッコいいよ」
そんなこんなで決まったものを、私に見せに来て
「オレの今の小遣いでは買えないんだけど・・」
と、言うので
「衣服は、親が買うから。弟妹達もそうしてるから大丈夫よ」
と返すと、ホッとしたような顔をした。
選んだ上着は、背面に大きな十字がプリントされた、10代の男の子が、いかにも好きそうなデザイン。
そんな意見がある。
そうかもしれない。
だけど
『毎日、画面をみて笑っていただけの子が、要求をしてきた!自分の着るものに目がいくようになったのかも!喜ばしい!』
そんな解釈をしてしまった私は、上着を買うのだ。
そして、この後来るかもしれない反抗期に、これくらいゆったり構えていたいなぁ~なんて思ったり。