中3息子が、場所も知らない、先生や生徒の顔も声もしらない中学校を卒業した。
夕方、学校の応接室で、学年主任と担任から私は卒業証書を代わりに受け取った。
私は、それっぽいスーツを着たんだよ。
胸元には、彼が小学校卒業以来つけていない、コサージュだってつけちゃったし。
それっぽい、カバンだって持っちゃった。
いつも通りの5分メイクだけど、化粧もしたさ。
着飾って行ったけど、校門をくぐってから出るまで、10分かからなかったよ。
着飾った夕暮れの帰り道、コンビニで使える電子マネーがあるのを思い出した。
この電子マネーは、少し前に県から不登校児と保護者に、任意のアンケートが届いて、それに答えてもらったもの。
1500円分ある。
「よし、使うなら、今日だ!」
コンビニへ、レッツゴー!
まずは、最近飲んでいなかったお酒をカゴに入れて、子どもと私のお菓子も買おう、それから、それから…。
電子マネー分くらいにおさめたつもりが、会計してみたら500円オーバー。嗚呼。
自宅の玄関を開けて
「ごめ~ん!今日、疲れた!夕食、作りたくな~い!お菓子買ってきた!」
「冷蔵庫にお刺身あるから、食べたい人は、3等分に分けて!」
と、子どもたちに向かって叫ぶ。
化粧を落として、着なれない服も脱ぎ捨て、お酒とスナック菓子の袋を開ける。
子どもたちも集まってきて
「何買ってきたのぉ?」
とリサイクルバックの中を覗き込む。
久しぶりのお酒は、缶1本で頭痛がした。
子どもたちは、刺身を切るのに、3人でまな板を囲んであれやこれや。
すし飯を作るのに、3人で、あれやこれや。
これまでの経験から
『今日の母親は頼りにならない』
と、完全にみかぎっている。
あなたたちの親なんて、そんなもんよ。
どんどん、みかぎっちゃって。
それでいい、それでいい、の我が家の卒業式の日。