小4弟と、中3兄が、仮面ライダー談議を、居間で、楽しそうに繰り広げていた。
寝ても覚めても仮面ライダーの弟の、もともとの師匠は、この兄。
5才違いの2人は、弟が生まれたとき、ちょうど兄の方は仮面ライダーにハマり始めていた。
新生児のときから、弟の聴覚と視覚は、朝から晩まで仮面ライダーの音やら、武器をふりまわす兄に支配されていたに違いない。
そんな環境下で育ってしまった彼は、多くの子が通るであろう、教育テレビのキャラクターや、アンパンマンには見向きもせず、仮面ライダーへ一直線。
そして、今に至るわけで。
一方の兄は、仮面ライダーには、もうそれほど興味はないが、昔取った杵柄??で、ちょっとした話はできる。
「仮面ライダー○○の、ほら、敵でさぁ・・こんな衣装のやつがいたじゃん」
「あぁ・・××かぁ?」
「そうそう、そいつがさぁ・・」
「そうだよな!あれは面白かったよな!」
居間で向かい合って、お互い楽しそう。
こうやって話をする間柄なのに、弟の方は、ちょっとしたことで兄に八つ当たりしたり
「兄がいるから、この家を出たい」
と言ってみたり
フリースクールでも、兄の愚痴を言っているようで、それを何度も聞かされたスタッフから
「お兄さんと、そんなに仲が悪いんですか?」
と、真顔で心配されたこともある。
兄の方は、そんな5つ下の弟からの怒りを、うまくあしらっている感じ。
私から見れば、大型犬(兄)のとなりで、キャンキャン吠えまくっている小型犬(弟)のよう。
弟が中学に上がるくらいになったら、2人の関係性も、少し変わってくるのかも。
でも、今、こうやって、2人の共通の話題で盛り上がっている。
家族以外とは、ほぼ話すことのない兄も楽しそう。
フリースクールに毎日行っている弟も楽しそう。
そんな男同士の話に、小6娘と私は、全く入れず、そもそも入る気もなく
『また、話してるなぁ』
程度で、黙って、たまにチラリと横目でみているだけ
そんな夕食前のこと。