小6娘が、毎週恒例、激安店への食糧買い出しに、今週も付き合ってくれた。
その車中、たいてい黙っている娘が、珍しく口を開き
「私、将来、大丈夫かなぁ」
とポツリ。
兄弟の先陣を切って、小学2年から不登校の彼女は、ほとんど勉強をしていない。
それでも、一昨年くらいまで、ごくたまに教科書を開いたりしていたが、ここ最近はまったく。
彼女の学力は、数学でいえば『34-15』みたいな、繰り下がりの引き算ができるかどうか。
私の本音を言えば、全然大丈夫じゃない。
言うほど、社会は甘くない。
だが、それを言ったところで、今の彼女は勉強する気にならないだろうし、心を追い詰めるだけなので、何が何でもここはお口チャック。
もちろん黙っているのも、得策ではないので、娘も顔見知りの、弟の通うフリースクールスタッフや関係者も不登校児だったことを話した。
そして
「好きなことを1つでも多く探してみたら?」
と言葉を締めた。
その場しのぎというか、問題を後回しにしたというか。
でも、私には、それしか言葉が出なかった。
娘は、隣で、静かにうなずいていた。
数日後、私は、教育学者の講演会を聴きに行った。
講演の最後に、質疑応答の時間があり、講演前に質問用紙をもらっていたので、ダメモトで書いて提出してみた。
「将来が不安だと言う不登校児に、先生ならば、何と声を掛けますか?」
子どもの背景などを、長々と書いたところで、短時間の質疑応答ではジャマなだけなので、それだけ書いて。
それが幸運なことに、読まれた。
年齢も背景なども、まったく知らない子どもに対しての、無茶ぶり質問に、その先生はウンウン唸りながらしばらく考えてくれ
「答えにはなっていない、私の勝手な想像の域だが・・」
という前置きのあと
「お願いだから手伝ってくれないか、あなたの力がどうしても必要ですと、その子に頭を下げて、何かを手伝ってもらうことから始めてみるのはどうだろうか?」
「そこから、何かが広がるかもしれない」
と答えてくれた。
答えてくれた後も
「いや・・こんな答えじゃないことは分かっているのですが・・」
と、またウンウンと唸りながら、首を傾げたり、天を仰いだり。
でも、私は
『今のやり方でいいのかも・・』
と、少し安心できた。
こういうの、時折、確認したくなってしまう。
今月初めに、娘と一緒にお手伝いに行ったところに、来月また、行きたいと、娘は言っている。
お手伝いに行った先からも、娘へ伝言を頼まれた。
「あなたの洗ってくれた野菜は、本当にきれいで、あなたの心がこもっていた」
娘は、それを聞いて、とても喜んでいた。
こんなやり方で、またやっていこう。