昼夜逆転中の、中3息子が、昼前まで起きていた。
その日は風が強く、そのことを何とはなしに、大きな独り言でつぶやいた私に
「え?今、風強いの??」
と、居間にいた息子が、いそいそとベランダへ1人出て行った。
時折、ベランダに出ていたのは知っていたが、たいては夜で、夜景を見るのが好きなのだと思ったら
「お兄ちゃんは、風にあたるのが好きなんだよ」
と、小6妹が、何をいまさらというように、私に教えてくれた。
5分ほどで部屋に戻った息子は、満足そうだった。
それから、息子自身から
「お母さんが言っていた、あのことを考えていたんだ」
『あのこと』とは、私の知人の息子さんが家庭内暴力をしているということ。
そのことは、また別の知人から、少し前に聞いた。
その当事者の知人とは、時折顔を合わせるので、声をかけてみようかと思ったが、数日前に会った時も、何事もないようにふるまっていたのでやめた。
相手が隠したがっているのかもしれないことを、心配だからと、こちらから声をかけるのは・・。
正解が分からないが、何とも、こういうのは難しい。
代わりに、もちろん名前などは全てふせて、この家庭内暴力のことについて、子どもたちそれぞれに意見を聞いてみたのだ。
小6娘は
「分からない」
と1言だけ言って、感想も意見も何も言わなかった。
小4息子は、いろいろ感想を述べたが
「分からない」
と言葉を締めた。
中3息子も、感想を一通り言ってから
「本人と、その親御さんに、できることなら話を聞いてみたい」
と言った。
暴れているのは、子どもたちと年齢の近い子だったので、てっきり
「その子の気持ちがわかるよ」
と言い出すかと思ったが、小4・中3息子の感想は、保護者側に立ったものだった。
「年齢が近いあなたたちから見て、子どもはどんな気持ちなんだろう?」
と尋ねても、子どもたちは、首をかしげるばかり。
風吹くベランダで、そのことを考えていたらしい。
「でも、やっぱり本人たちの口から聞かないことには、分かんないよ」
確かに。
ところで、外で吹く強い風のなかにいた息子の心には、どんな風が吹いているのかなぁと思ったり。