吾輩はズボラなるままに

15才、中1、小5の3児のママです。子ども全員明るくニート&不登校中。ズボラ万歳で過ごしています!

スージーとギー

お隣でのインド人奥さんによる、マンツーマン英語教室が終わり、帰りがけ

「今日の夕食は、何を作るんですか?」

と、つたない英文で、奥さんに尋ねたら、聞いたこともない単語が返ってきた。

 

「スージーという粉を使った料理」

だと言って、粉を見せてくれた。

 

白いきめの細かい、グラニュー糖のような見た目の粉。

 

「丸めて、パンやピザ生地のようにするの?」

と聞いたら、違うと。

 

なんでも、粉を炒めて、簡単な味付けをし、野菜や肉を加えることもなく、味付けされた粉だけを食べるのだと。

 

それは、インドの伝統的料理で、今日の夕食は、それだけだと言う。

 

粉を炒めて食べる??粉のまま??粉だけを??

 

私には、完成形が、まったく見えなかった。

 

ポカンとしている私に、ご夫婦は

「良かったら、それを作るときに見に来ますか?」

と言ってくれて、お言葉に甘えることに。

 

指定された時間に、再びお伺いすると、台所のガスコンロには、中くらいの雪平鍋。

 

そこへドンと入れたのは、お玉1杯のギーと言う、黄色い色をしたインドの油。

 

サラダ油や、ごま油のような液体ではなく、ラードのようなドロリとしたもので、少し甘いような独特な香りがした。

 

弱火でそのギーを溶かし、それから主役の粉スージーを、鍋8分目くらいまで入れる。

 

そこから真っ白いスージーが、きつね色になるまで、つきっきりで炒めること数十分。

 

「この炒めた香りが隣の家に届くまで、炒め続けなさいと言われているんですよ」

と、日本語が堪能なご主人が教えてくれた。

 

「手が痛くなっちゃう」

と笑いながら、ご夫婦で交代しながら炒めていた。

 

そのうち、炒め続ける奥さんの横で

「精製前の黒糖です」

と言って、カヌレのような見た目の黒糖を、ご主人が細かく切り始めた。

 

切ったものを食べさせてもらったら、昔懐かしい素朴な飴玉のような味。

 

それをご飯茶碗1杯ほど、刻む。

 

『この砂糖の量・・かなり甘いぞ。

それに、お玉1杯の油も入れたから、この料理は、油っこいうえに甘いに違いない』

と、この時点で味の予想はついてきた。

 

真っ白だった粉が茶色がかり、そこへカヌレに似た黒糖を入れ、更に粉は茶色くなる。

 

そこに牛乳と、(聞いたが忘れてしまった)何かの調味料、砕いたナッツをいれて完成。

 

見た目は・・1番近いものでいうと、オカラだろうか。

 

出来立てを少し食べさせてもらうと、あれだけ入れた油と砂糖はどこへ消えてしまったのか、さっぱりして、ほのかに甘い程度。

 

甘いのが苦手な私が、もう少し甘味があってもいいかなと思うほどに。

 

いわゆる

『昔懐かしい、素朴な味』

 

今どきのお菓子・食事に比べたら、物足りないが、ついつい手が伸びてしまう。

 

お菓子ほど甘くないがお菓子と言えばお菓子だし、食事にもなり、市販では決して出せない、手作りならではの味だった。

 

「ご家族にもどうぞ」

と、大皿に盛ってくれて、有難く頂戴。

 

帰宅して出すと、夫や子どもも、何となく手が伸び、あっという間になくなった。

 

ただ、この料理名を教えてもらったのだが、思い出せない。

 

新しい言葉を覚えるには、私の頭は、スージーとギーの2つが限界らしい。

 

覚えた言葉は2つだけだったが、それ以上の楽しい時間が頭に刻まれたので、それでよし。