住んでいるマンションの自治会主催の、イベントがあった。
自治会員の私は、開催側の1人。
会員数の少ない自治会なので、毎度イベントは人手不足に悩まされている。
自分の任された係だけ準備すればいいのではなく、他の催しの手伝いもしなければならない。
小5娘が、前日準備から手伝ってくれた。
日が暮れていく中、6~7人の会員が輪になって、雑談をしながら、翌日の小物づくりのコーナーのために端切れ布を、ハサミで小さく切っていく。
世間では、確実に『初老』と言われる私も、自治会の中では、若手。
その輪に、孫世代の娘も入り、布を切った。
自分と同世代がいるところは、尻込みする娘だが、自治会の集まりには時々、こうやって顔を出す。
「あら、お嬢ちゃん、お手伝いして偉いわぁ」
と、白髪のお姉さま方に口々に言われ、俯いていた。
娘から話すことは全くないが、本人曰く
『何か役割をもらえる』
のがいいらしい。
翌日の本番も、朝9時集合に一緒に集まり、準備をしてくれた。
午前中は、思ったよりも人が集まらず、手持無沙汰だった娘。
だが、午後になって会員手作りの混ぜご飯が、余りそうだったので、急遽、テイクアウトにして、来場者へお土産を作ることに。
私が、別のところでバタバタしていると、混ぜご飯を、プラスチック容器に詰める係の1人に、娘は任命され、頑張っていた。
周りの大人たちに
「ごはんを、容器に詰めるのが上手」
と褒められたのが嬉しかったと、あとで話してくれた。
夕方まで、片づけをして、最後、使用した部屋を、自治会長さんが鍵をしめるまで見届けて、家に戻った。
「今日は疲れたよねぇ」
と二人で顔を見合わせた。
手伝った人の役得?で、私たちの手には、残った食事やお菓子がたくさん。
人のいるところでは、緊張して食事ができない娘は、昼食ぬきで
「お腹がペコペコだよ~」
と。
自宅の玄関を開け、留守番をしていた中3兄と、小4弟に
「ご飯あるよ~!!お菓子もいっぱい!!」
と大きな声をかけた、娘。
満ちたりた顔が、そこにあった。