再会と邂逅
「会いたかったヤツと、バッタリ会うこと」
浅田次郎氏のエッセイで『邂逅』の意味が分かりやすく書いてあった。
さて、小3の息子が通うフリースクールで、スカイツリーに行くという日。
小5娘も行きたいというので、息子たちとは別行動で、私と娘も、初めてのスカイツリーに行くことにした。
思い返せば、スカイツリーが建築中のころ、私は、窓を開ければスカイツリーが見えるところにいた。
なのに、完成間近に、全く見えない遠い所に引っ越してしまった。
それから10年以上経って、ようやくの再会である。
ソラマチという名の洒落た商業施設を、娘とともにウロウロ。
すごく楽しい。
昼食にはタイ料理を堪能。
やっぱり、タイ料理っていいわぁ。
そして、準備万端、いざ、塔へ。
あぁ、晴れて、遠くまで見渡せる。
いや、もう、見事な風景。
「バカと偉い奴は、高いところが好き」
よく、実父がそう言っているなぁ。
煙じゃなくて、偉い奴と言っているところが、ユーモア好きの父らしい。
私も高いところが大好きだと、再確認。
娘も
「私、高所恐怖症じゃないことが分かった!楽しい!!」
と言っていたので、親子そろって、バカは確定のよう。
その後、またソラマチに戻って、ウロウロしていると、見覚えのあるパン屋の看板が。
どこかで見たんだよなぁ、えっと・・確か・・。
そうだ、学生時代に行った旅行先のパン屋だ!
栃木に旅行に行ったとき、一緒にいた友人の1人が
「ブルーベリーの入ったパンが美味しいのよ!」
そう言ったので、みんなで買ったのだった。
ビートルズをモチーフにしたような店名や、店内、商品名が、そのころの私には、オシャレだなぁと思ったんだっけ。
当時は、ブルーベリーのパンなんて珍しかったし。
1つ思い出すと、それまで忘れていたことが次々と思い出された。
晴れた外のテーブルとイスで、10年ぶりにスカイツリーを見上げながら、30年ぶりのパン屋の看板のそばで、お茶を飲む。
そして、今、私の隣にいるのは、建築中のスカイツリーと別れたとき、お腹にいた子ども。
ちなみに、浅田次郎氏は『遭遇』は
「会いたくないヤツと、バッタリ会うこと」
と、書いている。
邂逅と遭遇。
さすが、非常にわかりやすい。