私は『1人の時間が必要な人間である』ということは、随分前から知っていた。
子ども3人を授かり、その3人が揃って不登校になり、1人の時間はなかなか取れなかった。
しかし、今や子どもらは、1人でフリースクールに通い、留守番もでき、己の食事を作れるようになり。
私が、子どもにしてやれることは、心身の健康維持と、ごくたまに法律の遵守を教えるくらいだ。
やることがなくなって羽を伸ばし始めた私は、外で、1人呑みをしている最中である。
確か、3週間前もした。
3週間前は、近所だが初めての居酒屋に開店と同時に入り、カウンターの隅へ。
そのうち、幼稚園くらいの子どもを1人連れた女性が、私の席1つ空けた隣に。
『こんな年齢の子どもを連れてきたら、せっかくの酒も飲んだ気がしなかろうに』
と思いつつ
『当時の私も、こうやって連れて来るくらいの、気持ちに余裕がある母だったなら…』
とも思えた。
隣の連れてきたお子さんは、当時のウチの子とは、月とスッポンなくらいに静かな、お行儀の良い子。
お母さんが頼んだ、フライドポテトをカウンターの椅子にチョコンと座り、時折、お母さんと顔を見合わせ、ニコニコしながら食べていた。
お母さんも、仕事帰りだろうか、スーツ姿で生ビール片手に子どもの顔を見ながら、話をしている。
しばらくすると、突然、そのお隣から声がかかった。
「良かったら、フライドポテトいりませんか?ウチは食べきれなくて」
食いしん坊の私が断るわけもなく、有り難くいただき、代わりに、等価交換とは程遠いが、私の枝豆を差し上げた。
それをキッカケに、話をした。
酒呑みの私だが、酒場で知らない人と話すなんてことは、ほぼなく。
そんなことは、テレビドラマとか、本の中でのことかと思っていたのに。
実際のそれは、短い時間だったけれど、すごくすごく楽しくて、嬉しい時間で、素敵な経験になって。
さて今は、ファミレスで1人呑み。
少し離れた席からは、いくつもの楽しそうな声が聞こえる。
でも、今日は1人がいい。
そんな気分。
1人で酒を呑み、こうやってブログを書いているのが楽しい。
いや、実は、寂しいくせに、強がりか?
いやいや、寂しいと強がりが、ケンカしないうちに、帰ろうか。