「砂肝が食べたい!い~っぱい食べた~~い!!」
「この前、お兄ちゃんと分けたら少なかった!!1パックじゃ少ないよ!」
そう小6娘があまりに言うので、とにかく量が多い、1つがデカいが売りの、我が家の御用達安売りスーパーで、砂肝を3パック買った。
1パックでさえ、砂肝が20個ちかく入っている。
それを、えぇぇい!ままよ!と、3パック。
料理方法は、いたって簡単。
塩こうじと、ニンニクで炒めるだけ。
砂肝は、私も好きだ。
好きだが、あれ、下処理が面倒くさいのよ。
60個の砂肝って・・ウチは店じゃないのよ。
長丁場になると腹をくくり、台所に椅子をもってきて、座りながら、黙々とした処理を始める。
不器用で、ズボラな私のこと、全くもって丁寧とは程遠い下処理なのだが、やってもやっても砂肝が減らない。
調理中に天を仰ぐのは、久しぶり。
「終わらない、終わらない・・・」
とブツブツ言う母親に恐怖を感じたのか、居間でテレビを見ていた娘が、台所にやってきた。
私の下処理をしばらく、隣で眺め
「ようは、この白っぽいところを取っちゃえばいいの?」
「じゃあ、私やるよ」
と言った。
普通の母親なら
「大丈夫よ」
と断るか
「じゃあ、一緒にやりましょう」
と言うだろうが、普通じゃない私は
「あら、そう?うれし~~」
と、その場を早々にはなれ、居間に倒れこんでしまった。
倒れこんだが、私に似て面倒くさがりの娘のこと3つ4つ行って
「もうやだ~」
と、言うに違いないとふんでいた。
ふんでいたが、そのまま私は記憶を遠くに、少しだけ飛ばしてしまった。
「お母さぁん、できたよぉ~」
という娘の声で、はたと起きた。
娘曰く、砂肝の下処理は、すべて終わっているというではないか。
「え??全部?全部終わっているの??」
と何度も聞く母を台所に連れていき、ほら!と見せる娘。
「オッ・・おぅ・・・終わっているねぇ・・すご~い!助かったぁ!」
ちょっと鼻をうごめかす娘。
砂肝の白っぽい部分は、包丁と手でうすくはがしていくのが通常だが、娘は、大胆に包丁でその部分をザクザク切っていったよう。
結果、砂肝は小さくなってしまうのだが、まっいいか。
娘の頑張りがうれしい。
同時に、娘に、我がズボラDNAが受け継がれていると確信した。
60個の砂肝は、さすがに1度では食べきれずに残った。
娘は、あれから砂肝を買ってくれとは言わない。