「あのさぁ、冷やし中華って作れる?」
昼夜逆転の生活を送る、中3息子が寝る前、台所に顔を出して私に言った。
「そりゃ、別に難しいことないけれど、キュウリをのっけていいの?」
と返事をすると、
「いいよ!オレ、それが数日前から食べたくて仕方ないんだ」
そう言って、息子は、日の当たる寝室に入っていってしまった。
そう、我が家では冷やし中華を、1度も作ったことがない。
理由は、超野菜嫌いの中3息子と、小4息子のせい。
例えば、ハムサンドイッチの中のトマトやレタスなどは食べられない。
野菜をとりのぞいても、ハムに野菜の味がくっ付いているから、野菜入りのハムサンドは食べられないというほど。
そしてお酢などの酸っぱい味付けも、においも大嫌い。
そんな幼少期だった彼らのせいで、我が家で冷やし中華は作ってこなかった。
しかし最近、特に中3息子は、あれだけ嫌がっていた野菜を、出されれば食べたし、野菜のゴロゴロ入ったスープは、おかわりするようになっていた。
子供たちの情報源は、ネット。
おそらく、冷やし中華をたべている動画でも見たにちがいない。
とにもかくにも、新しいものへの挑戦意欲は悪くない。
そしてなにより、食事のリクエストは、私が夕食のメニューに頭を悩ませなくて良くなるわけで、まったくもって悪くない。
そうと決まれば、スーパーに冷やし中華をもとめに行く。
ところが、そうなのだ今は、9月中旬。
冷やし中華は、世の中では店じまいらしく、麺とタレが1袋に入っている冷やし中華セットがない。
けれども、隣に、生中華麺なるものが、目に入る。
ふと、我が家にあるインスタントラーメンの麺だけ茹でればいいのでは??と、いつものケチな考えがよぎった。
が、初めて行うことは、基本から外れてはならぬと、内なる声が聞こえ、1袋98円の生中華麺を買うことに。
キュウリと卵は冷蔵庫にあったな、でも、ハムがない・・いや、豚小間肉があるので、それを茹でればいいや。
タレは、まぁ家の調味料で何とかなるだろう。
ケチは、すぐに基本から外れる。
夜、小4息子は、麺の上にキュウリをのせてくれるなというので、茹でた肉とゆで卵のせ、リクエストした息子と、小6娘にはキュウリものせた冷やし中華を出した。
錦糸卵など、ケチのうえに面倒くさがりの私が、するはずがない。
それでも、3人とも、おかわりをして「明日も食べたいよ」と。
リクエストした中3息子は、おかわりの冷やし中華の上にも、キュウリをのせていた。
我が家、遅ればせながら、冷やし中華はじめました。