その日、小3息子のフリースクールでは、近所の商店街に、お昼ご飯を買いに行くという行事があった。
普段は、各々がお弁当を買ってきたり、作ってきたりして食べる。
息子も、いつもは、幼稚園から使っている弁当箱を、持参している。
しかし、その日は、お弁当箱の代わりに、お金を握りしめ、商店街の好きなお店で、好きなものを買う。
生徒さんの1番人気は、小さなハンバーガー屋さん。
店主1人で切り盛りしている小さなお店で、その手作りのハンバーガーが絶品だそう。
前回、息子は、そのハンバーガー屋の存在を知らず
「次は、オレもハンバーガーを買うんだ!」
と、随分前から意気込んでいた。
そんなに美味しいのならと、その日、息子をフリースクールに送ったその足で、私と小5娘も、噂のハンバーガー屋へ行ってみることに。
商店街の外れにあるので、少し歩くが
「お店を見ながら歩くの、楽しいね」
と、娘が言う。
確かに、何もない1本道では遠く感じるだろうに、商店街の1本道はあっという間。
息子たちより一足先に、店に到着。
4~5席だけの店内は、既に2席うまっていた。
そのお客さんの目の前の鉄板では、ハンバーガーがジュージュー。
小5娘はチーズバーガー、家でまだ寝ている中2息子には大きなソーセージが入ったサンドイッチを、持ち帰りにしてもらった。
作るまでに30分ほどかかると言うので、それまで、娘と近くのカフェへ。
そこもまた、店主の好きがつまった小さなお店で、手作りのお菓子と、コーヒーのいい香り。
娘も、可愛い鬼をかたどったクッキーと、リンゴジュースにニコニコ。
先に来ていたお客さんが
「今日も美味しかったわぁ」
と言いながら、店を出ていった。
あぁ、幸せな時間。
コーヒーを飲んでいたら、娘に
「お母さんは、ハンバーガー頼まなくて良かったの?」
と尋ねられ
「いいのよ~」
と答えた。
昨日、調子にのって食べすぎた夕食の揚げ物が、まだ、胃の中で、その存在を消していなかったから。
ホント、年々、サッパリ味万歳!ってなる、我が胃。
そろそろできあがりという頃、ハンバーガー屋に行ってみると、小3息子とフリースクールご一行が、メニューを見ながら頼んでいた。
「お待たせして、すみません」
と何度も言う、ハンバーガー屋さんに、構わないと手を振り、フリースクールご一行にも、じゃあねと、手を振り。
また、1本道を娘と戻った。
帰ってから、少し冷めてしまったハンバーガーを、子どもたちは夢中で頬張っていた。
全部が、うん、幸せな時間だった。