少し前に、入浴剤を頂いたので、小5娘と、小3息子との入浴時、毎回使っている。
日本全国の、温泉の名前が書いてある、個包装のもの。
今、子どもたちは、毎度、お湯が何色になるのか楽しみで、キャーキャー騒いでいる。
私が初めて入浴剤を使ったのは、小学生の頃だった。
新聞屋さんから頂いた、小さな入浴剤1袋。
袋には「下呂温泉」と書かれていた。
小学生の私にとって、初めて聞く温泉地。
それもちょっと奇妙な名前に、妹と
「げろ…おんせん…??」
と、顔を見合わせたのを覚えている。
しかし、名前は奇妙だが、この「入浴剤」なるものをを入れた我が家の風呂は、この後、どんな変化が起こるだろうか。
妹と、空想してワクワクした。
海外映画でみた泡風呂になるのかも、どんな良い香りだろう、色はどんなにステキだろうと。
小学生2人の、夢は、脹らみに膨らんだ。
そして、いざ…。
ところが、目の前の風呂の中の湯は、底が見えぬほどに黒い。
香りは、想像していたバラの香りではない。
今なら、温泉が、バラの香りな訳はないと分かる。
だが、温泉に行ったことがない子どもには、そんなことさえ分からなかった。
湯をかき回せば、変わるかと思ったが、いくらやってみても、黒いまま、香りも変わらない。
妹と2人、しばらく黙って湯を見つめたっけ。
そんな訳で、私の初めての入浴剤の感想は
「温かい墨汁にでも浸かっているような感覚」
そこから、だいぶ長いこと、入浴剤拒否症になったものだ。
今では、入浴剤は、何なら好きになった。
下呂温泉にも行った。
下呂温泉の湯は、透明だった。
何故、あのときの、下呂温泉入浴剤は、黒かったのだろうか。
なんて考えつつ、昨夜も風呂に入った。
子どもとの入浴は、これ以上縮こまれないほどに、手足を折り曲げる。
それでも、温かい風呂は最高で。
湯の色なんか、もう、どうでもよくて。
そんな訳で、私の初めて知った温泉地名は、下呂温泉。