コロナでキャンセルしていた腸カメラ検査を、1年遅れでしてきた。
自覚症状があるとかいうわけではないが、3年ほど前に憩室炎をして、それ以来、検査をしていなかったので。
この年令にもなると、自身のメンテナンスは大事。
しかし、憂鬱だった。できればしたくなかった、この検査。
何故って、3年前の初めての検査が 部分麻酔で、まぁ痛かった。もぅ辛かった。二度とやりたくないほど。
その後、知人から全身麻酔の検査方法もあると聞いた。
寝ている間に終わったので、痛みも何も感じなかったというではないか。
それだ!絶対に絶対に今度は、それにしようと心に誓った。
そして昨年、そろそろ検査しておこうかと全身麻酔をしてくれる病院を探した。
何と、自宅から徒歩5分のところに 全身麻酔をして検査してくれる病院発見。
いそいそと予約したはいいが、コロナ第1波で病院側からキャンセルの申し出。
そして、そろそろいいかと予約電話をしてみたら 全身麻酔の検査は中止していると言われてしまった。
全身麻酔を行った後、しばらくは病院に滞在して 身体を麻酔から覚ましてからではないといけないらしい。
病院滞在時間が長い=感染リスクが高まる というのが、中止の理由らしい。
まぁね、確かに。
そんなわけで、泣く泣く 部分麻酔検査を承知して臨んだわけだ。
まずは、朝も早よから下剤と水を飲み続けること3時間。
もう既に、これで体力半分は持っていかれる。
『私、10年後に これできるかな..?』と思いつつ、ひたすら飲んでは、トイレに駆け込む。
その後、病院での本番検査が始まれば、身体に異物を突っ込まれる。
やっぱり痛い。辛い。もう嫌だぁ。
異物を入れられたまま、身体の向きを変えろとか、息を吸って止めとけなんて、私にゃ無理だ~!
と、そんな文句も言いたいが、言ってる余裕がない。
歯医者と同じで「痛かったら、言ってくださいね~」と検査前に言われるが、実際は言ったところでどうなるものでもない。
とにかく目を固く瞑り、手を握りしめ『早く終われ』と念じるのみ。
普段は不信心なくせに、こんなときは神様仏様と祈る祈る。
ただ、そんな中に救いがあった。
それは、看護師さんの手。
看護師さんが、検査中ずっと 私の肩を幼子を寝かしつけるかのように優しくトントンとしていてくれた。
その手が温かく、優しくて、人の手って こんなに落ち着くのかとビックリ。
あぁ、これなら子どもが、安心して寝るわけだ。
そんな経験は何十年ぶりで、こんな場面でしてもらえるなんて思っていなくて、涙が出るほど嬉しくて、その手が検査中の支えだった。
永遠に思えた検査は、終わってみれば、受付をしてから小一時間で病院を後にしていた。
特に、ポリープも見付からず、また3年後くらいに検査をと言われた。
しかしながら、えもいわれぬ疲労感がハンパない。
徒歩5分の自宅までの道で、よほど歩みが遅かったのだろう。
後ろから来た幾人にも、私は追い抜かされた。
帰宅して、布団に倒れこむ。
次回は、絶対に絶対に全身麻酔にしたい。
でも、あの手の温かさは忘れられない。あれは。