医者嫌いをなくしていこう
引っ越してから、1年半。
今、私が定期的に受診している医者が良い。
実は、だいぶ長いこと、私は医者が苦手だった。
医者のご苦労は、素人が傍で見るより はるかにあるかと思う。
だけどだ。
居酒屋や、ファミレス店員のように「いらっしゃいませ~」「(血圧測定)喜んで~!」と言ってくれとは言わない。
だけどさ、患者相手に もう少し愛想よくしても良かろうと思っていた。
そもそも、私には医者に対してトラウマがある。
30年前にもなるか。母が入退院を繰り返していたときのこと。
当時の私は、社会の右も左も分からぬ10代の学生。
医者との付き合いが、こんなに大変なものかと身に染みた。
社会には、金の力と、コネの必要不可欠なのを思い知らされた。
随分後から見た『白い巨塔』のドラマが、私には ノンフィクションにみえた。
それでも、子どもが産まれてから、子どものかかる病院で1人、2人と、少しずつ良い先生に出会えるようになった。
そのうち、私自身がかかる病院でもようやく2人出会えたが、どちらもご高齢の医師で閉院してしまった。
結局、閉院と同じころに 私も引っ越しをしてしまい、医師探しは またゼロからに。
まずは、私の持病の薬確保が先決!この際、良い医者だの病院だのは二の次、三の次だ!
というわけで、たまたまネットで見つけた少し遠方の病院に、引っ越して間もなくナビを頼りに行ってみた。
少々特殊な病気なので、念のため病院に電話をして診てもらえるかを確認をしたら、男性の声で「はい!大丈夫ですよ~!」と元気に言われた。
『受付が男性職員とは珍しい』と思いつつ、目的の小さな病院のドアを開けて「先ほど、電話を掛けた者ですが・・」と受付の女性に言うと、女性の後方にいた男性が「あ~~!お待ちしていました!」と。
どこかで聞いた声・・そう、電話の声の主だった。
それは、この病院の院長であり、唯一の医者であった。
「あ!どうぞどうぞ!そのまま診察室へ!」と、その医者に言われ、ふと院内を見渡すと、患者ゼロ。
ここは『内科』の看板を掲げている。
『内科』と言えば、混んでいるもんじゃない?
診療開始直後とか終了間近の時間でもないのに、患者ゼロ・・最近できた?キレイな病院だけどなぁ。
でも、患者ゼロって・・・ここ大丈夫か?
武井壮氏に似た、30代後半~40代の医者は「いらっしゃいませ~」「喜んで~」と言わんばかりに終始笑顔で、私のこれまでの様子を聞いてくれ、説明も詳しくしてくれた。
ビックリした。こんなニコニコする医者が、この世にいたのか。
でも、わからんぞ。たまたまかも。
きっとこれまでの医者同様に、そのうち看護師や薬剤師をバカにしたり「私の診断に文句があるのか」と言うに決まっている。
医者とはそういうもんだ。
それを暴いてやろうと、片道 車で30分弱を 毎月通うこと1年半。
今日は 待合室には患者が5人いたが、5分も待たずに呼ばれた。
ちなみに、予約制度はこの病院にはない。
「よろしくお願いします!」
「よ~し!今回も、採血をしましょう!」
「その前に、血圧をはかってもいいですか?」
と、今日も武井壮似の医者は、明るくニコニコ。なかなかシッポを出さない。
最近は、患者が増えない(ように見える)この病院は、やっていけてるのだろうかと、余計な心配をしてしまう 私がいる。
このまま、シッポを見ないでいられたらと願ってしまう。
あっ、それより、来週にでる結果・・先月の数値が悪かったんだよなぁ。体重も増えたし・・はぁぁ。
この溜息と一緒に、医者へのトラウマを、偏見を 少しずつ消していけたら。
いや、ため息とトラウマと一緒に、身体中の脂肪も消していけたらあぁ・・!