先日、子ども会主催の いちご狩りに、小3の娘と行ってきた。
実は、私はいちご狩りが人生2度目。
前回行ったのは、35年前。
その時も、子ども会の行事だったろうか。
周りは、子どもばかりで自分の親はいなかったのを覚えている。
そのときのいちご狩りは、今のように取りやすい手元近くではなく、イチゴが足元にあった。
ひどく蒸し暑い温室のなか、ごった返す人をよけながら、待ちながら、イチゴの泥を片手で払い、片手のコンデンスミルクをつけて食べながら歩く。
コンデンスミルクというものがあるというのを、このとき初めて知った。
当時から、子どもだてらに酒飲み舌だった私に、コンデンスミルクは 衝撃的に甘すぎて、全く受け付けない。
汗だくで、甘ったるいイチゴ。
コンデンスミルクを返そうかと思ったが、周りの友人たちはコンデンスミルクの味を大絶賛。
思春期の『ここは周囲と同調せねば』の思いが勝ってしまい、愛想笑いをしながら『イチゴは涼しい場所で、そのまま食べるのが1番だ』『好物も、食べる場所と食べ方によっては不味く感じる』ということだけを頭に刻み付けた。
それが、私の初めての いちご狩りの思い出。
さて、今回の人生2度目のいちご狩りも 正直 気がすすまなかったけれど、娘が行きたいとなれば仕方あるまい。
服装は、半袖に薄手の上着を羽織る。暑さ対策は、これでよし。
いちご狩りの場所は、自転車で行ける距離。
途中、長い上り坂があるけれど、それも引っ越し前に住んでいた坂の多い街を思い出しながら、娘と頑張ってペダルを踏んだ。
さて、いちご狩りの温室に入ってみると、前回は足元にあったイチゴが手元に。
畑の狭い畝の間を、足元のイチゴを踏まぬよう、前からくる人をよけたりしながらだったものが、通路は人が3人は通れるほど余裕がある。
テーブルと椅子も用意されて、取ってきたイチゴはテーブルで食べるよう指示があった。
コンデンスミルクも初めからカップに入ったものが渡されず、使いたい人だけが入れるように容器がテーブルに置いてある。
あれだけ ごった返していた人も、人数制限を設けたようで、まばら。
手洗い場まで用意されていた。
確かに、温室なので蒸し暑いが、半袖ならばちょうどいい。
一瞬にしてイチゴ狩りのイメージが覆る。
こうなったら、食べて元をとらねば!狩りじゃ!狩りじゃ!狩りに参るぞ!
意気揚々と、娘を従えて 歩を進める。
こういうとき、娘は 日頃の食いしん坊を ひた隠しに隠す。猫を何重にもかぶりまくる。
「お母さん、そんなに沢山一度に入れなくても・・」
「私、そんなに食べられな~い」
などと、日頃はポテチ1枚、アイス一口でさえ 兄弟にはあげたくない、自分の分が他より少ないと思えば烈火のごとく怒りだす娘が、偽りの言葉を吐く。
それを
「何言ってんのよ!今、沢山摘んでおけば、何度も摘みに行かずに済むでしょうが!時間制限あるんだから!」
「ほらほら、食べなさい!」
と、結婚・子育てを経た母親たるもの、図々しさ全開で返す。
そうやって、一緒に来た 他の母親とも話しながら、今年1年分のイチゴを食べた。
お土産に イチゴを沢山買って、また自転車にまたがり 帰路につく。
その途端、案の定 娘の口から「何かさぁ、お腹すいちゃった。お菓子買って帰ろうよ~」
ほら みたことか。
でも、私も あなたとそっくりの子どもだったからわかるよ。
帰りは、行きの長い上り坂も、下り坂に変わる。
娘とペダルに足を置いたまま「ひゃ~楽チ~ン!」
下り坂、お腹はイチゴでいっぱいで、家にいる息子2人の土産に喜ぶ顔を思ったら にやけちゃって、風は気持ちよくて、桜も咲いて。
帰宅後、ようやく土産のイチゴでイチゴを味わった娘は、満面の笑みで「おいし~~!」
私のイヤだった思い出は、楽しい思い出に変更されて上書きされて。
生きているのも悪くないと思ったりして。
こんなことで、大袈裟だなと思ったりして 。
そんな イチゴ狩り。