吾輩はズボラなるままに

15才、中1、小5の3児のママです。子ども全員明るくニート&不登校中。ズボラ万歳で過ごしています!

潔さと 優しさと 心強さと

私が高校生まで過ごした実家は ピンクのネオンのホテルと、鮮やかな色の外車がならぶ 個性的な街だった。


reysolharukei.hatenablog.com


街が個性的なら、住んでいる人間も 家庭も個性的。


平たく言えば どこもかしこも問題だらけ。外からみえる問題・見えないけれど知っている問題。だけど、それが「普通」「日常」「暗黙の了解」の街。


さて、本題はこちら。


あるとき、我が父が浮気をした。W不倫。母が身体をこわして、入退院を繰り返していたころでもあった。


人が恋に落ちると、こうなるのかと 子ども心に思った。


毎日、鼻唄まじりに帰宅。愛しい彼女のこと以外は、まるで耳に 目に入らない。


母が半狂乱になっても、自殺未遂をしても、行方不明になっても、父には彼女との恋路を邪魔する くだらないパフォーマンスにしかみえない。


父が のぼせあがれば あがるほど 家庭内は冷えに冷えた。


そんな状況を、近所に住む まきちゃんに愚痴ったことがある。私も思春期の頃で、どうにも辛かった。


まきちゃんは、私の愚痴を ひととおり聞くと 言った。

「お父さん、毎日 帰ってくるんでしょ?」
「生活費、入れてくれるんでしょ?」
「暴力、ふるわないんでしょ?」


「何が不満なの?」さらりと、まきちゃんは言った。


呆気にとられた。予想外な答え。


可愛そう でもなく、お父さんヒドイ でもなく。「何が不満なの?」


そう言われると、あれ?私は 何が不満なんだろうか?あれ?


返事ができなかった。


オタオタしている私に「ほら、不満なんかないじゃん」と、まきちゃん。


なんか、良く分からないけれど 気持ちが軽くなった。彼女が潔くてカッコよくみえた。


まきちゃんの家庭も、街では「よくある」
他の街の感覚では「大問題」をかかえていた。


「潔い」というのとは違うかもしれない。


何て言うか・・まきちゃんには 彼女自身に(せざるをえなかった)「覚悟」のようなものが、きちんとあった。私には それがなかった。


まきちゃんは、その覚悟を受け入れている。受け入れたくないが、受け入れようとしている姿があった。それが「潔い」というか、そんな風に感じとれた。


彼女は、いつも冷めたような 何かを達観したような目をしていた。


主人に対し、ときどき私は不満に思うことがある。

「毎日、帰ってくるんでしょ」
「生活費、入れてくれるんでしょ」
「暴力、ふるわないんでしょ」


「何が、不満なの?」


まきちゃんの言葉を思い出す。彼女は、この言葉を10代半ばで言った。


これを思い出すと、今でもモヤモヤが消える。「まぁ、いいか」って。


これだから、女はバカにされる とか、そんなんで結婚生活とはいえない とか、こんなことが積み重なって、後々 破綻する・・そういう考えもないわけではない。


でも うまく言えないけれど、ガマンしよう とか 問題を先伸ばしにしよう とかいう気持ちではない。なんかウジウジ考えることが、バカらしくなるのだ。


あのとき、私のくだらない愚痴を聞いて、まきちゃんはイラッとしたのだろうか。それで、当て付けに言ったのだろうか。それとも、まきちゃんの強がりだったのか。


当て付けでもなんでも、やっぱり あのときの まきちゃんは 潔くてカッコいい女の子だった。


まきちゃんの言葉は、あのときも 今も 私には優しい。