吾輩はズボラなるままに

15才、中1、小5の3児のママです。子ども全員明るくニート&不登校中。ズボラ万歳で過ごしています!

遠くの親戚より近くの他人

子どもがいないとき、ご近所付き合いはなかった。

私もそれほど必要性を感じなかった。

 

子どもが生まれて、ご近所さんが子ども経由で 少しずつ少しずつできた。

 

両方の実家が遠い場所にある私にとって、ご近所さんは貴重である。

情報源にもなり、困ったときに頼りにもなる。

 

あるとき、私の親の年齢ほどのご近所さんができた。

 

美容室嫌いの1番上の子どもが初めて行くことができた美容室の方である。

 

それまで 1番上の子どもは「子ども向け」の看板をかかげる美容室に行くも アンパンマンの椅子にも幼児向けテレビにも眼中なしと 大暴れを繰り返していた。

 

毎度 美容師さん数人と私にイスに羽交い絞めにされ、カット担当の美容師さんは指を血だらけにするので いつも遠まわしに「お出入り禁止」をくらった。

 

仕方がないので、バリカンを買って 自宅の風呂場でド素人の主人と私が切ることにした。

私が子どもを押さえる担当。主人がバリカン担当。

 

しかし、そう簡単に 嫌いなものがなおる訳がない。

 

「イヤだ~」「(風呂場から)出して~」「助けて~」 

阿鼻叫喚というのはこういう声であろうか。

 

絶叫につぐ絶叫。そして号泣。風呂場から出たくて 出入り口のドアが壊れるのではと思うほど叩く。

 

近所から、警察に通報されなかったのは奇跡だと思う。

 

ただでさえ、バリカンを持つのは初めてのド素人が刈るのに それほどに暴れられては 出来上がりは髪の長さはガタガタ、ジャリッパゲも数か所という酷いありさま。

 

そんなひどい髪型で5才まで幼稚園に登園していた。

 

ほとほと困っていたとき、自宅近くの美容室にダメもとで訪れてみた。

 

私の両親くらいの年齢のおばさま1人で経営している美容室だった。

そのとき、お客は私と子どもだけ。

 

おばさまは、子どもをイスに座らせることはせず レゴや積み木が少し置いてある室内で 「遊んでいいよ」と。

 

そして、子どもに話しかけながら子どもが遊んでいる場所で髪を少しずつ切っていく。

 

最初は「何するんだ!?」と驚いて嫌がる子どもだが、「ごめんね~」と言って すぐに髪を切るのをやめるので またおもちゃに集中。

 

またしばらくして、髪をチョンチョンと少し切る。

イヤだと言えば、すぐにやめる。

 

子どもが室内をアチコチ移動しても注意はせず、移動した先で チョンチョンと切る。

 

そんなことを繰り返しているうちに、いつのまにか上手い具合にカットされている。

 

店内中に髪は散らばるし、子どもの服にも切った髪がくっついているが 子どもの阿鼻叫喚も美容師さんの手も血だらけになっていない。

 

いつもは子どもの押さえこみ担当の私も店内のソファーで下の子どもと、ぼんやり座っているだけ。

 

それどころか、美容室嫌いの子どもが「もっとこのお店にいたい!」とまで言うではないか。

 

おばさま・・・「神」だ。

 

そしでお値段は 税込千円。

お出入り禁止になった店では、その3倍は取られたというのに。

 

さらに「神」だ。

 

おばさま、もう成人した子ども2人を育てたお母さんでもあり 育児相談にものってくれた。

 

それ以来、我が家の子ども3人のカットをその美容室にお世話になっている。

 

おばさまも、3人を孫のようにかわいがってくれる。

 

節分・ひな祭り・端午の節句などなど季節の行事には プレゼントを3人分くれたり。

 

「少しお母さんは休みなさい」と、お店の休みの日に 子どもだけを公園へ連れて行ってくれたり。

 

だから、子どもも学校や幼稚園終わりで 髪を切るわけでもないのに店を訪れ 店内で絵を描いたりブロックで遊んでいく。

 

「申し訳ない」「すみません」と言うと、おばさまは「いいの、いいの!私も仕事をしていたから、子どもが小さいときは近所に頼って育てたんだから。いいのよぉ」と。

 

「遠くの親戚より近くの他人」とは良く言ったものだ。

 

いつか、私もこの恩を返したい。

誰かの手助けができるようになりたい。

 

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