小6娘の卒業式があった。
「校長室で、1人で卒業証書もらうらしいよ」
と言ったら、それだけならと娘が行くと言い、2人で小学校へ。
校門には、紅白の紙の花でふちを飾られた『卒業式』の立て看板。
一応、娘に尋ねてみる。
「あそこで、写真撮る?」
速攻で断られた。
「やっぱりか。そうだよね」
「当たり前じゃん!」
2人で目を合わせて、フフッと笑った。
校内に1歩入ると、娘はマスクを目の下まで覆い、いつも通りに俯いてしまった。
校長室で
「着てきたコートを脱いだら?」
と担任の先生に言われたが、脱ごうとはしなかった。
それから担任の先生から名前を呼ばれ、精一杯の返事をして、校長先生から証書を受け取った彼女に、私のできることは、大きな拍手を送ることだけ。
それで終わりかと思ったら、最後だからと誰もいない教室へ促される。
彼女の後ろ姿からは
『もう帰りたい』
『校長室で受け取れば終わりじゃないの??』
というオーラをビシビシ感じる。
教室の椅子に座った娘の周りをぐるりと、校長、教頭、担任、副担任、隣のクラスの担任の先生方が集まってくださる。
そして先生1人1人から、娘にお祝いの言葉を、座っている娘の目の前に来て、かがんでくださるが、娘はさらに俯き、目線は全く合わない。
先生からの言葉が終わり、担任の先生から娘に
「何か感想はありますか?」
と言われるが、俯いたまま首を力なくふるのみ。
「最後に黒板の前で、先生たちと写真を撮りましょう」
と言われ、そこでコートを脱がされるが、目の下まで覆ったマスクは、頑として外さなかった娘。
「お母さんもご一緒に、お写真を」
と言われたが、帰りたいオーラが、傍らから、これでもかと放たれるのに耐えられず、ご辞退申し上げる。
「じゃあ、これで卒業式は終わりです」
と言われ、教室を出ようかと、ゆっくり大人たちが歩をすすめ
「卒業しても、また遊びに来てね」
「最後だから、教室の様子をみていってもいいよ」
と言う先生の声を背に、娘は1人で教室を出て行った。
階段を駆け下り、靴を履き替えると、ほんの少しの会釈を1~2度、先生方にして、足早に校門へ。
私は先生たちに
「お世話になりましたぁ」
「有難うございますぅ」
なんてことを言いながら、彼女を追いかける。
いつかきっと、彼女に、今日の大人たちの気持ちが、ちょっとはわかる日がくるだろう。
さて、これで、中3兄につづき、小6娘の卒業式2つが終わった。
大した時間でもない、大したこともしていないのに、なんだか随分と疲れてしまった・・なんて言い訳をつけて
「今日の夕食はマクドナルドだ~!」
と言ったら、となりを歩いていた娘から歓声が上がった。
「おやぁ??ついさっきまで負のオーラを出しまくっていたのは、どこのどなた様でしたっけねぇ??」
と言って娘をみたら、いたずらっぽく笑っていた。