お隣りのインド人ご夫婦の奥様に、英語を教えてもらう初めての日。
「人に英語を教えたことがないけれど、それでいいですか?」
と事前に、日本語が堪能なご主人から言われたが、そんなことは構わない。
学生時代に習っていたって、この有り様なのだから。
そうして約束の時間、お隣りのお宅へ。
ご主人は出勤して、奥様1人。
玄関に1歩入った瞬間から、お互いに相手の話すことが、サッパリ分からない者同士の時間が、始まった。
分かってはいたが、お互いに、言ったことが伝わらない、言いたい言葉が出てこないのは、まぁもどかしい。
最初に
『あなたは、どんなことが習いたいのか?』
というようなことを奥様から聞かれたが、私が聞きとれない。
持参したノートに、たぶん、かなり噛み砕いた英文を書いてもらって、ようやく分かったが、今度は返事に一苦労。
言いたいことは沢山あるが、余計なものを取っ払って、なるべく簡単な文を脳内で探しだす。
こんなことは、街の英会話教室ならば、レッスンに入る前の、受付で書くようなことだから、なるべく早く相手に知らせたい。
こんなときこそ、文明の力だと、Google先生に頼んでみるが、どういう訳か、何度頼んでも英訳せずに
「検索結果は、こちらです」
と、英会話アプリやら教室やらを教える始末。
しまった!機械音痴なんだから来る前に、Google先生との意志疎通をするべきだった。
仕方なく、ホコリをかぶった脳のエンジンを、盛大にフル回転。
ノートに書いたり、単語をつなげて言ったり、身振り手振りもつけて、ようやく伝わった。
そんな感じで、短い会話のラリーさえも、容易につながらない。
なんたって、来たボールを打ち返す動作で、はてどうしたものかと、モタモタ、アタフタ。
でも、普段の生活で、こんなにも相手の1言1言に耳をすませ、頭を働かせることはないので、わかったときの喜びがひとしお。
初回のレッスンは、あっという間。
終わったときに、ちょうど、日本語が堪能な、ご主人が戻り、レッスンの内容を奥様と私から聞きながら、お互いに通訳してくれた。
奥様も、私の意図をくみとれたと。
ホコリをかぶった脳をあちこち動かし、心も充実感で一杯になり、次回が楽しみ。
さて
「こいつは、ダメな生徒だ」
と呆れられぬよう、復習しないと。