中3息子の、昼夜逆転は相変わらず続いている。
朝、私が起きてくると、その日のニュースになっているようなものを
「すごいニュースみつけた!」
「このニュース知ってる?」
そんなことを、たまに教えてくれる。
それは、たいてい、前日のトップニュースだったりするので、私も概要は知っている。
だが、ほとんど家から出ない彼が、社会に関心はあるのだなと思えて、少し安心をする。
その日、不登校児を持つ親の会に、私は、出席した。
そこで、息子と同世代のお子さんをもつ、あるお母さんが
「うちの子は完璧主義だから、昼夜逆転でもしてくれたらいい」
と話した。
その子は自室からほとんど出ないが、それでも昼夜逆転はなく、自室も適度に整理整頓されているらしい。
家にいても身なりを整え、太るからと食事にも気を付け、ゲームも、テレビも、マンガも興味がない。
そして、登校できない自分を卑下して、悩んでいると。
安心できるはずの家の中でさえ、その完璧主義の子の心の糸は、ピンと張りすぎるほどに張ってしまって、親として心配でたまらない。
そう、お母さんは伏し目がちに言った。
ウチとは真逆である。
はて、うちの子、整理整頓という言葉が、この世にあることを知っているのだろうか。
私は・・そうね、一応は、知っている。
ゲームとテレビ、マンガ、おいしい食事以外に、この世に興味を引くものがあることを知っているのだろうか。
私は・・まぁたぶん、知っている。
皆が、多少なりとも眉をひそめる、昼夜逆転も、羨ましいと言う人がいるのだな。
ものの見方は、人の数だけあるものだなと、帰り道、そんなことを思った。
翌朝、中3息子が、家のベランダから写真を撮ったと、携帯を見せてくれた。
それは、鮮やかな、とてもきれいな朝焼け。
「あなたって、ニュースだけじゃなく、風景にも興味があったのねぇ」
と、息子に言ったら、照れくさそうに笑っていた。
ふと、顔も知らない昨日の、完璧主義の子も、この朝焼けを見ていたらいいなと、思った。