私は、ゲームが苦手である。
子ども時代は、ゲームをしてこなかった。
親に禁止されたわけではなく、ゲーム操作が致命的に、へたくそだったので、早々に諦めたというのがホントのところ。
両手を動かし、且つ、目は画面を見ることができないのだ。
ゲームをしなくても、友達との会話には困らなかったが、中高生になると、出かける先がゲームセンターが多かったのが苦痛だった。
ゲームを、どう楽しめばいいのか分からないから。
本音を言えば、ゲームをしている人を軽蔑していた。
そんなだから、我が子が、ゲーム機を手にして、日に日にどっぷり浸かる姿が、本当に嫌だった。
ところが、あれよあれよと我が子3人全員、立派に不登校児になった。
子ども3人が24時間自宅にいる。
息が詰まった。
子供をどう管理していいのか分からない。
子どもは勉強をさせようとしてもしない。
でも、ゲームをさせるなんて、遊ばせるなんて、絶対違う。
「不登校なのだから、家で学業優先をしてます!ゲームは1時間だけ!なのに、子どもが全然言うことをきかないんです!私は間違っていませんよね?」
そう、自信満々に不登校の専門家に、私は言い放った。
ところが、専門家は
「ゲームは好きなだけさせよ」
「勉強は強制するな」
「子ども自らに、何事も選択させよ」
オイオイ、話が違うじゃないか。
今までずっと、教師も、ママ友も、皆が口を揃えて言っていたんだよ
「学業優先、ゲームは悪」
って。
皆がそう言うから、それを、私は信じて、実行していたんだよ。
不登校専門家が言う
「学校から命からがら逃げてきたのに、また、家で追い詰めたら、その子はどうしたらいいんですか?」
” 溺れる者は藁をもつかむ ” とは、よく言ったもので、藁なのか、救命ボートなのかわからぬが、困った私は、専門家の言うことを、1つずつ実践してみた。
子どもがやりたいことを聞いて、嫌だといういうことはやめた。
教科書を閉じ、習い事をやめ、朝起こすことも、夜寝るように言うこともやめた。
結果、教科書の代わりにテレビ、鉛筆の代わりにゲーム機。
子どもは笑顔が増えたし、私は気楽になった。
あんなにゲームが嫌いだった私は、気づいたら、オンラインゲームを、子どもに勧めていた。
子どもが、ゲームをだれかと一緒にしたと聞けば、褒めた。
ゲームは、我が子が、他人とつながることのできる時間だから。
私は、ゲームが今でも苦手であるし、どうやって楽しむのか分からない。
でも、ゲームを悪だとは全く思わないし、ゲームをしている人を軽蔑どころか、羨ましい。
ゲームへの見方が変わった。
たったそれだけのことだが、今、私の心はとても軽く、視野は広く、眺めがよくなった。