先日、母と中1娘と一緒に、入院中の父の面会へ行った。
行きの車内で、母が
「お父さんが、携帯の使い方がわからないようで、お父さんからメールが、朝方や夜中に届くのよ」
と。
メールの通知音を消音にすればよいのではと、アドバイスしたが、母曰く、通知音は必要なのだと。
確かに、父は入院以来、認知機能の衰えが、格段に進んでいる。
父の携帯は、スマホではない古い機種のうえに、購入当時
「操作の簡単な携帯だと!?オレは、そこまで年寄りではない!!」
と言って、普通のものにした。
送られてくるメールは、病院のスタッフの方が、その日のリハビリ状況などの文面を打ってくれて、送信ボタンだけを、父に任せたよう。
入院して、時間間隔がわからなくなった父が、夜中に目を覚ました時に携帯をいじって、そのときにメールの送信ボタンを押すらしい。
その日の面会時、メールの文面を打って、送信するのは難しいので、携帯で電話をかけることを、母と共に、父に教えた。
1度母の携帯に電話をかけ、履歴から、もう1度かける方法。
父は、履歴画面を出すことはできるが、電話をかけるためのボタンが、どうしてもわからない。
父の古い携帯には、電話のためのボタンは2つある。
1つは、受話器が縦になった絵の『電話をかける』ボタン。
もう1つは、受話器が横になった絵の「電話を切る』ボタン。
電話をかけるには、履歴画面を出してから『電話をかける』ボタンを押す。
しかし、そのボタンが、父には分からない。
私や母が
「ほら、電話をかけるには、受話器を耳に当てるでしょ?
そのとき、受話器は縦でしょ?
だから、このボタンを押して」
「受話器が横なのは、電話が終わったら切るでしょ?
このボタン押したら、電話は切れちゃうから」
何度もそう父に言っているのを、一緒に来た娘は黙って、そばで見ていた。
結局、電話のかけ方を教えるだけで面会が終わり、病院の駐車場へ向かう途中、娘が
「ねぇ、さっきから言ってた『受話器』って何?」
と、母と私に尋ねた。
思わず、母と目を見合わせ、黙り込む。
『受話器が・・わからんとな・・???』
中1娘にとって、固定電話はみたことはあるが、生まれて以来、普段、親が使っているのは携帯電話。
もちろん、携帯電話に、受話器という名称はない。
そう思えば、そういう質問もあるか・・と、娘に受話器の説明をすると、すぐに納得してくれた。
自宅に戻り、15才と、小5の息子2人にも、受話器のことを知っているか質問をしたら、小5息子は知らなかった。
15才息子は
「(登校していたころ)学校で習ったような??」
との返事。
これが、ジェネレーションギャップか??不登校の弊害か??と思った日のこと。
そして、その日1日で『受話器』という単語を、向こう10年分くらい言った日のこと。