今日も今日とて
今日も今日とて、子どもたちの話す、ゲームや動画の話が、サッパリ分からない。
まるで、外国語を聞いているよう。
1番下の9才の息子は、自他ともに認める、仮面ライダー大ファン。
片道30分のフリースクールへの送迎の車の中は、私にマンツーマンで行われる、仮面ライダーの講義の時間になっている。
「今日は、歴代仮面ライダーの悪役で○○だった者について解説します」
と、学校の講義さながらに、それは始まる。
「まず、私が1番○○だと思うのは・・・仮面ライダー▽▽で・・何故そう思うのかというと・・」
「☆☆が××を◇◇したことに、最大の理由があり・・・」
YouTubeで、仮面ライダーの考察?検証?動画を1日中みているせいか、言葉の意味を理解しているのかどうかは怪しいものの、口調だけは一丁前。
しかし、聞いている方は、毎度、1語目からサッパリシッカリ全く分からない。
でも、1語目から「いったい、それは何ざんしょ??」と言うのも、仮面ライダー教授に申し訳ないので「うんうん」と分かったふり。
しかし、相槌が「うんうん」だけでは、教授から「話聞いてる?うんうんばっかり言ってるけど?」と厳しい指摘が入る。
受講して、かれこれ1年近く。
生徒には、悪知恵だけが身についた。
サッパリ分からない話の相槌は、バリエーションと、単語の反復、さらに適度に相手を褒める。
これで、講義をほぼ乗り切れる。
だが、たまに「お母さんは、これに対してどう思う?」とか「お母さんは、この中でだれが好き?とか教授からの質問がとんでくる。
これには「教授は、逆にどう思う?」「そうねぇ、2番目(たいてい比較対象物は複数ある)のとかいいかなぁ」で返す。
そんな悪知恵を蓄えただけの生徒の、たまにする、とんちんかんな質問や答えにも、この教授、真摯にいつも答えてくれる。
申し訳ないと感じるのではあるが、いつまで経っても、教授の話は頭に入ってこず。
9才教授には、何とか対処方は見つけたが、1番上の13才の息子には雑な相槌ではうまくいかない。
13才息子は、海外の都市伝説に興味があるようで、訳のわからない横文字を使って話してくる。
仮面ライダーも分からないが、そちらは更に苦手分野であるからして、わからない。
同じ伝説なら、伝説の節約方法とか、伝説の家事代行人とか…あっ、もちろん無料で。
正義のライダーなら、バイクでスーパーに買いだしをしてから、買ったものを整理して、洗濯物をしまい、夕食を作り・・・それが終わったらようやく戦うのが最善かと。
もちろん、戦いには、他人様の迷惑にならぬよう、ディスタンスを保って、静かに、広い場所で、爆薬やら剣は処罰の対象だし・・・。
今日も今日とて、女は妄想さえ現実的。