小学校~高校まであった、この「卒業式の練習」というのが 苦痛だった。
生徒だけが苦痛だとおもったが、考えてみれば先生も苦痛だったのだなぁと この記事をみて初めて思った。この年までわからなかった自分が情けない。
通っていた高校は、内部進学者がほとんどであったため この「卒業式の練習」のためだけに2週間を費やした。
その甲斐あって、出席した母がいうには一糸乱れぬ立派な式であったと褒めていた。
それに比べて、妹の通っていた高校はゆるく「卒業式の練習」を卒業式の前日に1度しただけだったらしい。
そのため、生徒もゆるゆる。それよりゆるかったのは、保護者。
式の間ずっと保護者のおしゃべりが絶えず、先生が「保護者の方、お静かに!」と言われたと。
それでも、おしゃべりが止まず 最後は「保護者の方、いいかげんお静かに!」と言われても、どこ吹く風。
ホント、両極端な式だったわ・・と、母の感想。
ところで、一糸乱れぬ式をおこなった高校の卒業式の練習に 私は前日に1度いったきりで、本番を迎えた。
片道1時間半かかる高校。それを卒業式の練習2時間のためだけに2週間。
行ったところで、寒い体育館で怒られながら 立って座ってを繰り返すだけ。どう考えても時間も労力もムダである。
「それなら遊ぼう!」そう私は考えた。今まで貯めこんだ、お小遣いを 今こそ使うべきだ。
まずは、親を説得。これは、楽勝だった。
日ごろから、何かといえば保護者会だなんだと、大した用事もないのに呼び出す私の高校に 母はウンザリしていたので「卒業式の練習に行きたくない?はいはい。欠席の連絡ならいれといてあげるわ」
これで、この計画はほぼ大丈夫。あとは、この計画にのってくれる友人を探すだけ。
悪い計画にのってくる友人は、すぐに集まった。
2週間毎日、朝から遊び歩いた。
朝1番の映画館で映画を観て、お昼ごはん、アイスを食べながらウィンドウショッピングをして、カラオケをして。
夜光バスでスキーにも行った。皆、学校では禁止されていた お化粧をしていて 化粧のしかたや、どこの口紅がいいかなんて 女子トークがはずんだ。
公園へ 敷物と弁当、バドミントンやボール、トランプを持って1日中いた。お喋りをして、昼寝をして、また喋って。
学校でも会っていた私たちは、あのとき なにをそんなに喋ることがあったのだろう。
あのときは、本当に楽しかったと 今でも思いだす。
具合が悪く欠席をしたいたはずの生徒が、式の前日にスキー焼けをしてあらわれ 翌日卒業した。
仕事とはいえ、寒い体育館で面白くもない卒業式の練習を2週間していた先生にしてみれば、明らかに遊び歩いた生徒の姿は 胸くそ悪かったに違いない。
大変申し訳ないと思う。思うが、たぶん もう1度あのときに戻っても 私は遊び歩くに違いない。
遊び歩いた私が言うべきことではないが、一糸乱れぬ式もいいけれど、練習よりも もっとするべきことがあるのではないだろうか。
先生も生徒も納得できる、いい時間を過ごす。なにかあるはずだと思うが。