神がいた
たまに、小3の息子が通うフリースクールから、電話がある。
この電話は、出る前から、かかってくる理由は分かっている。
「息子さんが、機嫌が悪くて、帰りたいと言っています。迎えに来て頂けませんか」
もしくは
「閉室時間なのですが、息子さんが寝てしまって起きません。迎えに来て頂けませんか」
の2択。
フリースクールに通い始めた頃は、月に2~3度こんな連絡があったが、最近はめっきり減った。
それが今日、夕方にフリースクール近くの駐車場で、息子の帰りを待っているとき、電話がきた。
今回は「寝てしまって~」の方。
やれやれとフリースクールに行ってみると、部屋の隅のソファーで、寝転んでいるのが見えた。
ソファーのそばには、息子が親友と言って慕う、フリースクールスタッフがいた。
親友と言っても、たぶん息子より15~20才くらい年上。
その年上の親友スタッフが「起きようよ~」「みんな帰っちゃうよ」と必死に息子をなだめていた。
その必死の声に、息子の返事は「眠いんだよ!」の一点張り。
今日のは、時間がかかりそうなパターンだ。うわぁ…ヤバいやつだ。瞬時に悟った私。
案の定、私が何を言っても「眠いんだよ」と繰り返すだけで、いっこうに動く気配なし。
親友スタッフが
「じゃあさ、お母さんに車を、公園じゃなくて、フリースクールの前に停めてもらおうか」
と提案したので、ひとまず、私は公園の駐車場から車を動かすことに。
私がフリースクールを出ていくときも「眠いんだよ!」と相変わらずの息子の声。
さて、どうしたものか?
最悪、スタッフと息子を引きずっていくかぁ?
いやいや、階段もあるし…何かうまい誘導文句は…
全く手立てが、私には浮かばない。
こういうとき、ベビーカーやら、おんぶできた時代は、強制的に押し込めたがなぁと懐かしんでみたものの、さて困った。
と、5分後に車をフリースクール前に停めて戻ってみると、はたして息子は起きていた。
親友スタッフに「ここのゲームのやり方ってさぁ、どうするの?」と尋ねられ、得意気に教えていた。
いったい、これは…どういうこと??もうこれは見事というしか。
何1つ息子に強制させず、機嫌もきっちり治して、息子は、フリースクールのドアを開けて車に乗った。
息子の親友は、私にとって、神になった。
こりゃあ、足を向けて寝られない。