娘の絵
娘8才の絵画が展覧会で入選したというので、展示してあるという県立美術館に、絶賛不登校&不登園中の入選者本人と弟を連れて行った。
着いてみると、平日でガラ空き。入場料も無料。
さて、中には 県内の小中学生が描いた作品が何万枚と 所狭しと飾ってあった。地区、学年別に分けてあったが、探すだけで一苦労。
「入選」と聞くと聞こえはいいが、1番下の賞で いわゆる「参加賞」である。
ようやく探し当てた娘の絵は、数ヶ月前の校外学習で行った 科学館での1コマ。
校外学習といっても、その日は クラスメイトと別行動で 科学館へ片道1時間半で私のクルマで行き、科学館滞在15分で帰りたいとなって、また1時間半の道を私と帰った。
絵には 科学館でチラリとみた大きな展示物と、それを見ている数人の後ろ姿。
「端の2人は、私とお母さんなの」
「すご~いって、超ビックリって両手を挙げてるの」
「このスカート、お母さんが はいていたのと同じに描いたよ」
説明する娘は、上機嫌だった。
なるほど、端の2人は 万才をしているかのように両手を挙げている。
展示物は、後でパンフレットを見て描いたらしい。
大きく描かれた展示物。両手を挙げた2人。
あの日、科学館で あなたは 黙って ずっとうつ向いていた。両手を挙げてなんかいなかった。
だけど、本当は両手を挙げてビックリしていたんだね。私とビックリしていたんだね。あなたの心のなかで。
ガラ空きの美術館で、娘の絵をバックにスタッフの方に娘と息子と私との写真を撮ってもらった。
娘は、はじける笑顔でポーズをとった。
絵は 本当の姿だけを描かなくてもいいものなのだと、そんな今さらなことを改めて思った。
娘の絵は、誰よりも上手だった。