先日、帰宅した夫が急に言った。
「今度の月曜日に有給とって、1日家のことと、子どもたちの面倒みるよ」
結婚して20年。
私から頼んで、もしくは強行突破で、家事や育児を頼んだことはあるが、夫自ら言い出したのは初めて。
すわ、明日は、巨大隕石落下か、宇宙人襲来か。
いやとにかく、こうして、月曜日、私は家事と育児から解放されることが決まった。
しかし、ワンオペ育児が当たり前の我が家で、子どもたちは、大いに戸惑った。
「オレ、フリースクール行けるのぉ?」
「お弁当は?」
「お母さんいなくなるの?」
「どこ行くの?」
「何しに行くの?」
「何時に帰ってくるの?」
そんな言葉に
「お父さんとよく話し合って」
「お父さんも大人だから、大丈夫。出来るから」
と何度も返しながら、月曜日の昼前、私は家を出た。
さて。
行き先を数日前から考えたが、結局、1人で映画館に行きたかった。
玄関を出るまで、あんなに引かれた後ろ髪は、外に出た瞬間、誰も引っ張ってはいなかった。
映画館まで小一時間、歩いた。
長いかなと思った道のりは、あっという間。
映画館では、サスペンス&ヒューマン映画を2本みて、続けて大ヒット中のものもと思ったが、やめた。
ゆっくり食事をして、ブックカフェに行き、みた映画のラストを思い出したり、本を読んでいたら、閉店時間。
帰りは、電車に乗って帰った。
面白いもので、こうやって外に出た日は、家のことはほぼ思い出さない。
一人を没頭できる。私、意外と冷たい人間?いや、切り替え上手?ってことにしとこ。
家が見えてきて、ようやく私本来の、母&妻の役職モードに戻ってきた。
エレベーターに乗ろうとしたら、駐車場に、家の車がとまるのが見えた。
近づいていくと、子どもたちと夫がワイワイ言いながらおりてきた。
私を見つけた9才息子が「あれ?何してんの?」
11才の娘も「もう帰ってきたの?」
13才の息子に至っては「久々の焼き肉は、最高だわぁ」と、私の前を素通り。
彼らの後ろを歩きながら、ふと上を見上げたら、夫が朝に干した洗濯物が、真っ暗なベランダで風に吹かれていた。
子どもたちは、エレベーターを待ちながら、ワイワイ騒いでいる。
ほらね、やっぱり。
こうなる。
まったく、あの出かける前の、子どもたちの「不安です」「早く帰ってきて」のあれは、いったい何だったのかね?
皆が笑顔でなによりだ
そう感じた。月曜日だった。