「この映画を、何度も観た!」と言われたら、たいてい その映画は自発的に観たものであり、すなわち その人は その映画が好き。
そういう結論に至るだろう。
だが、私は違うのだ。
「何度も観た映画は なにか?」と尋ねられたら、私は『トップガン』と答える。
トップガンを、私は今までに7~8回観た。
それも15~20才くらいの間に、7~8回。
しかし、そのうちの1度として 自発的に観たことがない。
私の好きな映画は、派手なアクションや暴力シーンがなく、ハッピーエンドで終わるもの。
その点ではトップガンは嫌いではないし、好きな部類だ。
嫌いではないが、トップガンがすごく好きなわけでもない。
そんな立ち位置の映画だったトップガンを 何故か、15~20才の間『観なければならないループ』に 私は はまってしまっていた。
『観なければならないループ』というのは、学校の映画鑑賞会であったり、遊びに行った友だちの家であったり、修学旅行のバスの中でだったり、盆暮れの親戚の家だったり・・。
ことあるごとに、何故か そこには『トップガン』が鎮座。
確かに、当時 大ヒットした映画ではあった。
そのために、トップガンが好きな人が多かった、トムクルーズも売り出し 真っ最中って感じだったし・・そんな理由もあるだろうか。
別に文句が言いたいわけではない。
何というか、あの5年間の トップガン出現率の異様な高さは 何だったのだろうかと、今でもふと思うくらいで。
あれだけ観たトップガンだったが、残念ながら、その後 私がトムクルーズのファンになることもなく、映画関係の仕事に就くこともなく、飛行機オタクになったわけでもなく、パイロットの夫を持ったわけでもなく。
しいていえば、 自宅の 近所に自衛隊の基地がある。
そこの隊員が基地からサングラスをかけてオートバイで出ると、海岸線を疾走・・ではなく、迷彩服に眼鏡姿で 田舎道を自転車で走っているのを見かける。
トップガンと私の現在の関係性は、そんなもので。
でも、たまに トップガンの あの音楽がラジオから流れたりすると、思わず空を見上げて トムクルーズのパイロット姿を思い出し、私の学生時代も思い出し、甘酸っぱくなるわけで。